日本医学会連合TEAM事業・日本肥満学会・
日本肥満症治療学会 合同企画シンポジウム
【第1部】肥満症に伴う各々の健康障害の発症・進展
とBMIの関係と減量による改善効果
第1部座長
ご氏名 | 片桐 秀樹 先生 | ||||||||||||||
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ご所属 | 東北大学大学院医学系研究科糖尿病代謝・ 内分泌内科学分野 |
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ご講演タイトル | 【第1部】 肥満症に伴う各々の健康障害の発症・進展とBMIの関係と減量による改善効果 | ||||||||||||||
略歴 |
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ご発表内容の要約
肥満は国民的な関心事であるとともに、多くの健康障害の基盤となる。肥満症診療ガイドライン2022で定められた肥満症の診断に必要な健康障害は11におよび、他の8の健康障害と合わせ、まさに領域横断的な肥満症対策が必要であることは論を待たない。そこで、学会の垣根を超えた議論や情報交換が重要であると考え、2023年11月26日、第44回日本肥満学会・第41回日本肥満症治療学会学術集会の合同大会の2日目において、両学会と日本医学会連合・領域横断的連携活動事業(TEAM事業)との合同シンポジウム「領域横断的な肥満症対策の推進に向けたワーキンググループ活動の現状と今後」を企画した。当日は23学会からの出席者が本合同学会参加者と3時間にわたり熱心に議論が行われた。
私は第44回日本肥満学会会長として、ワーキンググループ長の山内敏正先生とともに、本シンポジウム第一部の座長を担当した。第一部では、3学会からの基調講演をはじめ、20学会からの発表をいただいた。特に、日本内科学会、日本肥満学会、日本肥満症治療学会からは、それぞれ現在進行中のSLIM-TARGET研究、J-ORBIT研究、J-SMART研究の成果が報告され、肥満に関連する健康障害(肥満症)を改善させるための減量の数値目標、診療録直結型肥満症データベース、肥満外科手術を含む統合的肥満症治療について、日本人の新たなデータに基づいた実践的な議論が展開された。さらに、個々の肥満関連健康障害(耐糖能障害、脂質異常症、高血圧症、高尿酸血症・痛風、冠動脈疾患、脳梗塞、非アルコール性脂肪性肝疾患、月経異常・女性不妊、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、運動器疾患やロコモティブシンドローム、がんなど)の個別対策について、それぞれを専門とする学会からの発表により情報を共有するとともに、小児や高齢者の肥満症の特徴や対策などについても議論を深めた。そして、栄養学や運動学、行動変容対策や遠隔モニタリングなど、すべての領域に当てはまる講演も大いに注目を集めた。
個々の発表内容については、それぞれの要約を参照願いたい。これらのTEAM事業「領域横断的な肥満症対策の推進に向けたワーキンググループ活動」の成果が、肥満症に対する取り組みをその主眼の一つとしている日本肥満学会、日本肥満症治療学会において発表され、領域横断的に情報交換や問題点の共有が進んだことは大いに意義深いものと考える。今後、本シンポジウムでの議論や情報共有、人的交流が発展し、領域横断的な取り組みが必要な肥満症研究や肥満症対策がさらに大きく発展していくことを願う。
以上